謁見の間

加賀百万石前田家を象徴する謁見の間は公式の御対面所として使用されました。花鳥の欄間を境とし上段、下段18畳からなり、広間33畳へとつづきます。
上段の間は、正面に付書院と帳台構(武者窓)を対峙させた本格的な書院造となっており、天井は上段が折上格天井、下段は平の格天井、格縁は黒漆塗りとし、杉の鏡板を上段は柾目、下段は柾目と杢目を目違いに張られています。
材には色漆、壁は金砂子の貼壁、障子の腰板には花鳥の絵が施されるという華麗で瀟洒な造りを特色としています。遺された数少ない大名の書院建築の中において、さらに類例の無い奥方の御殿です。

欄間

檜の一枚板を両面陶彫とし、梅の古木と椿に極楽鳥が五彩の岩絵具で描かれています。前田家御細工所の名工、武田友月の作である事が伝えられています。
これらの木工技術のひとつは井波の欄間として今日も継承されています。

七宝焼の釘隠

成巽閣の各部屋では、襖の引手をはじめ釘隠など建具の多くの部材において、特別な意匠を持つものが多用されています。
加賀藩では金工技術に象嵌七宝を織り交ぜた「加賀七宝」と呼ばれた技法が盛んであり、金属と釉薬による色鮮やかな部材が多く配されております。