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有職雛 一対

この小さな雛一対は、白の袍(ほう)に冠を着けた冠直衣(かんむりのうし)のお姿をした有職雛です。
小さな付け札に「橘印」の文字があり、前田家15代生母、挺秀君が「橘印」であった事から所縁の品であると考えられます。「牡丹印」の印をお持ちであった15代奥方、朗子君の鍋島家所縁の品という可能性もありますが、200年近い時は経ていると思われ、次郎左衛門雛と等しく、形見の品と考えられます。

(H20.2.7〜4.14「前田家伝来 雛人形雛道具特別展」にて展示)

「次郎左衛門雛」
立雛から坐雛へと雛はその姿を変えてきました。坐雛の始めは室町雛と呼ばれているもので、これは立雛をそのまま座らせた姿で両袖を左右に広げ、手はありません。頭は丸く団子形のお顔で、天児(あまかつ)・這子(はうこ)といった信仰的意味の強い人形と同じ系統です。

後年、木で頭を作るようになる前は土・粘土・桐塑という材料を用いた事を考えれば手で丸めるという作業が極めて容易で自然であったと思われます。こうしたことから丸い頭が古式であると考えられます。

宝暦の中頃、雛屋次郎左衛門によって洗練された作品として次郎左衛門雛が登場します。以来、この丸顔の頭は全て次郎左衛門頭と呼ばれるようになりました。然しながら実際はそれ以前から、室町雛の流れでこの丸顔の頭の人形は作られていた訳です。

  

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